【外航船員】三等航海士の仕事

船乗りの仕事について

外航船の航海士って船の上でなにしてるの?航海士になりたいけれど自分に務まるのか不安・・・

学生の時代の私は航海系の学校だったにもかかわらず、航海士の仕事のイメージがあまりありませんでした。また、上下のつながりも少なくなかなか実際に働いている人の声を聞く機会もありません。

そこで、現役で三等航海士として働いている筆者が「三等航海士の業務」についてまとめてみました。

ところどころ船会社によって違うとこともあるかもしれませんが、基本的な業務は網羅できています。

就職活動で迷っている人や、内定をもらって不安な人の力になればうれしいです。

航海当直

航海士にとって一番重要かつ基本的な仕事です。

船は24時間止まらず走り続けています。航海士三人で4時間交代一日8時間見張りを行います。

中でも経験が一番浅い三等航海士は8時~12時と20時~24時のいわゆる「パーゼロ」の当直を任されます。この時間であれば不安になったときにも船長を呼ぶことで危ないときはフォローしてもらいます。(間違った操船をした時には怒られることもあります)

他の当直と比較して、パーゼロ特有の業務に「Noon Report」の作成があります。
Noon Reportとは24時間の気象情報や航海距離、位置情報などをまとめたものです。

また、日中はデッキ上でメンテナンス作業をしている乗組員がいるため、雨雲をよけることもあります。避けきれない雨の場合は何分後に降るのか予測して報告しなければなりません。

ちなみに、前の時間の当直は一等航海士であることが多いため、寝坊すると怒られてしまいます。

消火・救命設備のメンテナンス

船には消火設備(FFE: Fire Fighting Equipments)救命設備(LSA: Life Saving Apparatus)があります。これは三等航海士の午後の仕事のメインです。午後は毎日何かしらのメンテナンスをしなければならなく、休むことはないです。

消火設備は船の貨物により異なります。積んでいる貨物により、火災の危険性や燃え方が異なるからです。なので船に乗ってからはメンテナンス方法や法令などについて調べつつ月例点検や週例点検にあたります。

メーカーのマニュアルや法令書は外航船ではほとんど英語で書かれているので英語が苦手な人は最初、苦労すると思います。慣れてくればなんてことないので過度に心配する必要はないと思います。

この仕事を手を抜いていると上司から見放されて仕事がやりにくくなっていくので、責任感をもって行うことができるとよいかもしれません。

書類事務作業

書類作業は私が学生の頃、最も謎に包まれていた業務の一つでした。

船は入港・出港する際、様々な書類を提出しなければなりません。必要な書類は船種や入る港により異なります。そのため、入港する数日前から、港の代理店から必要書類を教えてもらいそれを三等航海士が作成します。

入る港が毎回、同じであればそれだけ効率的に作成でき、負担が少ないです。

慣れてしまえばどんどん効率化が進んでいき労働時間の短縮につながります。書類作業については船で働き始めてから覚えていっても全然遅くないので過度に心配する必要はありません。

雑務

船で生活していく上ではどうしても労働とは言えないが強制的にやらなければならないことがあります。

例えば蛍光灯の取り換え、倉庫の整理や雑誌漫画の片付けなどなど生活面での雑務も積極的に行います。三等航海士はまだ未熟なのでここで気遣いができると仕事のフォローなどしてもらいやすく船内の雰囲気も良くなっていきます。(もちろん、始めからバリバリ仕事ができる人もいるかもしれませんが)

また、クリスマスやお正月などのイベントの時期にはパーティーの準備などもします。この時に全員の意見を集約して満足度の高いものにするためにも密にコミュニケーションが取れる環境を作ることも重要です。

つまり三等航海士・三等機関士には船内の雰囲気をよくできるムードメーカーのような役割が求められます。必ずしも明るく笑いをとれるような人である必要はありません。自分に合った最適な振舞い方が研究できているといいでしょう。

まとめ

三等航海士の主な仕事の

  • 航海当直
  • 消火救命設備のメンテナンス
  • 書類事務作業

について解説しました。

航海士の仕事について知らない人も船でどんなことをするのかイメージできるようになれば幸いです。
最後まで読んでいただきありがとうございます。

コメント