【体験談】船員保険下船後3月の療養補償制度を使ってみた

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船員保険と健康保険は何が違うの?

船員の多くの方が船員保険に加入していると思いますが、一般的な会社員が加入する健康保険と何が違うのでしょうか?

僕も入社当時、調べてもいまいちわからず混乱していました。

結論から言うと、船員保険には「下船後三カ月の療養補償制度」がついていることが健康保険と異なります。

この「下船後三カ月の療養補償制度」についてなんとなく聞いたことはあるかもしれません。
しかし、いざ使うとなるとどのようにして使えばいいのかわからなかったので筆者の実体験をもとに利用方法について解説したいと思います。

体験談

身バレ防止のため、航路や病気については伏せさせてもらいます。

緊急下船

ある日、貨物を積み日本へ向かっている途中体に異変が起きました。その時は痛みなどもなく様子を観つつ上司と相談し医療無線を行いました。

※医療無線とは陸の病院に症状等を問い合わせて処置を仰ぐものです。この時はEmailで行いました。

医療無線の結果、大事を取って次回の日本入港時に緊急下船し検査してもらうということになりました。

様態急変

医療無線から2日後の晩、寝ていると急に痛み出し耐えかねて上司に連絡。

痛みがひどく船長に相談してもらった結果、入港まで5日あったにもかかわらず入港を早めて次の日に緊急下船することになりました。

この時に船員保険療養補償証明書(以下「証明書」)を記入してもらいました。この証明書は船でもらうか会社から送付してもらう必要がありネットでは入手できません。

もし、船で証明書を作成してもらえる場合は必ず最低でも2部は作成してもらいましょう。(病院と薬局に提出するため)
転院することも考慮して4部もらえるのが理想です。

※船員保険療養補償証明書は医療機関・船舶所有者・健康保険協会提出用の三枚で一組です。

無事に下船

鎮痛剤を使いながら痛みに耐え、翌日には無事に下船しました。

下船後、救急車で救急病院へ。病院で検査してもらったところ、入院する必要がないことが分かりその日は点滴を打ってホテルに宿泊しました。

病院の支払いの時に下船前に作成してもらった証明書を病院の窓口に提出。診察に関する支払いはありませんでした。別途、診断書の発行には手数料がかかりました。

その後、薬局には船舶所有者提出用の証明書のコピーをとってもらい支払いはありませんでした。ここは本来であれば医療機関提出用を薬局にも提出しなければならないのですが、融通してもらうことができました。

帰宅

ホテルで休み、薬も効いて様態が安定したので帰宅することになりました。

帰宅したのち地元の病院に向かいました。証明書は一部しかもらっていなかったため、病院には次回診察してもらう際に提出することになりました。この時の診察代は一時的に3割負担で支払いました。

地元の病院・薬局に提出する証明書の原本は不足分の2部会社から送ってもらいました。

2回目の診察の時に証明書を提出し、前回分の返金をしてもらい診察代はかかりませんでした。
田舎の病院で病院の受付の方も初めての手続きだったようで戸惑っていましたが、健康保険協会に確認してもらいました。

その後、何度か受診しましたが何も提出することなく治療費の支払いは一切ありませんでした。

診察後

病院に船員保険療養補償証明書を提出したのち、会社には船舶所有者用を、健康保険協会提出用を全国保険協会船員保険部に郵送で提出します。
提出期限はありませんがなるべく早く提出しなければなりません。

治療は順調に進み1.5カ月ほどで完治しました。その間4回ほど医療機関を受診しましたが治療費はかかりませんでした。

下船後3カ月の療養補償制度は下船した日か3カ月後の月末まで有効です。
例えば4月5日下船した場合は3カ月後の月末の7月31日まで適用されます。

適用条件

この下船後3カ月の療養補償制度が適用されるのは以下の場合です。

  • 乗船中に職務外で発症した病気やケガ
  • 乗船前から発症していた疾病
  • 虫歯や歯周病等(ただし乗船期間が一年未満の場合)

職務内で発症した病気やけがなどは労災保険の給付対象になるためこの下船後3カ月の療養補償制度は適用されません。

詳しくは全国健康保険協会船員保険部のホームページをご確認ください。

まとめ

以上が船員保険の下船後3カ月の療養補償制度の体験談についてのまとめです。

船員保険と一般の健康保険の違いはこの療養補償制度だけで保険料等も変わりません。
船員の方は長期間まともな医療を受けることができません。せっかく素晴らしい制度があるので活用しない手はありません。

6カ月から9カ月乗船していれば何かしらの怪我や病気が発症してもおかしくはありません。
いざというときに知識を蓄えて備えておきましょう。

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