入社して、海技士試験の口述にも合格した方。おめでとうございます。
ただ、外航船に航海士・機関士として乗船していくためには海技士免状だけでは仕事はできません。入社したら様々な資格を取得しなければなりません。
本記事では、筆者自身が入社後に取得しなければならなかった資格等についてまとめました。
三級海技士(航海)or(機関)
- 取得にかかった費用:28,170円
- 申請から受け取りまで:2~4週間
10月に入社してからはまず口述試験を受けて、海技士免状を取得しなければなりません。10月もしくは11月に受験し合格することで申請できます。
手続きが複雑で入社する時期は忙しいので私の場合は海事代理士に手続きを委託しました。口述試験を受験後に、代理士事務所に受験票をもっていき合否を待ちます。
受験から2~4週間ほどで自宅に届きました。代理手数料はかかりましたが、入社したばかりの忙しい時期だったのでお願いする価値はありました。
実際に自力で申請した同期もいましたが、大変だったと言っていました。
船舶局無線従事者証明
- 取得にかかる費用:2,450円
- 申請から受け取りまで:4週間ほど
この資格は船上で無線設備を操作する際に必要な資格です。申請するには、『第三級海上無線通信士』もしくは『第一級海上特殊無線通信士』の資格を取得し、乗船実習にて無線設備の訓練を修了する必要があります。
この証明があれば後述する三級海技士(電子通信)の筆記試験を免除することができます。
三級海技士(電子通信)
- 取得にかかった費用:29,870円
- 申請から受け取りまで:4週間ほど
航海士は三級海技士(航海)に加えて、三級海技士(電子通信)を取得しなければなりません。この資格は通信士としての業務をするために必要な資格です。
昔は、航海士と機関士に加えて通信士が乗船していました。ところが、通信技術が発達したおかげで、通信士の業務を航海士が兼任し、通信士が乗船することはなくなりました。
三級海技士(航海)と船舶局無線従事者証明があれば口述試験・筆記試験を免除できるので取得するために試験などを受ける必要はありません。
船員手帳
- 取得にかかった費用:1,950円
- 申請から受け取りまで:即日発行
船員手帳とは、船上で働く人の健康状態が良好であることを証明するための手帳です。そのため、こちらは海技士免状とは関係なく、船乗りとして会社に雇用されると取得することができるようになります。
入社したら、会社から雇用証明書を受け取り、申請書と証明写真があれば発行することができます。写真は縦5.5横4.0で特殊な大きさなので注意が必要です。
証明写真を簡単に必要なサイズに調整できるピクチャンというサービスがおすすめです。
ピクチャンについても紹介しているので良ければご覧ください。→https://zaitech-seaman.com/?p=97
パスポート
- 取得にかかった費用:18,000円
- 申請から受け取りまで:1週間程度
私の場合は入社してから、パスポートの更新をしました。乗船期間は6~8カ月に及ぶので、有効期限が短い場合は更新する必要があります。
パスポートの更新は半年を切らなければ本来更新できませんが、仕事の都合上更新しなければならない場合、会社経由で申請することで更新できるそうです。有効期限が近い人は会社に確認して更新しておきましょう。
黄熱病の予防接種(イエローカード)
- 取得にかかった費用:17,680円
- 申請から受け取りまで:当日受け取り
外航船航海士になれば、アフリカや南米など黄熱病にかかるリスクのある国に行く可能性が高いです。
そのため、入社してからは黄熱病の予防接種を行うことが多いです。黄熱病は予防接種を一度受ければ生涯免疫を獲得することができるので、永年有効です。
船舶保安管理者適認証書
- 取得にかかった費用:無料
- 申請から受け取りまで:一週間程度
この資格は船舶保安管理者(SSO:Ship Security Officer)の業務を行うための証書です。
保安管理者はテロ行為や海賊への対策を立案し、船の保安を維持しなければなりません。筆者の会社の同期は全員取得しました。
取得には芦屋の海技大学校で二日間の講習を受け、船舶保安管理者講習の修了証明書を取得したのち運輸局に届け出る必要があります。講習は座学のみで、最終日にテストがありますがテキストは持ち込み可能だったので、難しくありませんでした。
申請の際は、12カ月の乗船履歴の証明が必要なので注意です。証明には海技免状の写しでも可能です。
船舶衛生管理者証明
- 取得にかかった費用:2,600円
- 申請から受け取りまで:即日~2日
この資格は船舶の衛生環境を整えたり、医療関係の業務を担う船舶衛生管理者を担当するために必要な資格です。船には看護師も医師も乗っていないので、衛生管理者が応急処置など行います
商船系の学校・水産系の学校で指定された科目を履修していれば100時間の講習を43時間(10日間)に短縮して取得することができます。
講習は最終日にテストもありましたが、重要なポイントは講師の方が説明してくださったので難しくありませんでした。
修了証書を受け取り運輸局で申請することで取得することができます。
乙種危険物取扱責任者
- 取得にかかった費用:無料
- 申請から受け取りまで:船員手帳に記入のため即日
この資格は石油タンカーや液化天然ガスタンカーど危険物積載船に乗船する『船長・機関長・一等航海士・一等機関士以外の危険物を取り扱う船員』が取得しなければならない資格です。
海上防災センターで5日間の座学と実習を修了したのち、運輸局にて申請すると取得することができます。
上位資格に甲種危険物取扱責任者がありますが、こちらは講習に加えて、各船種で三カ月以上の乗船履歴が必要になります。甲種は危険物積載船に『船長・機関長・一等航海士・一等機関士』として乗船するために必要な資格です。
まとめ
以上が商船系の学校を卒業し、入社してから取得した資格や証書です。船で働くために必須な資格なので入社してからは多くの研修があります。
また、取得するために交通費や申請費用を立て替えなければならいないこともあるので、初任給は計画的に使いましょう。
少しでもこの記事が参考になれば幸いです。
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