- 船乗りっていうけどどんな仕事があるの?
- フェリー?客船?
みなさんは船乗りと聞いてどのような職業を思い浮かべるでしょうか。よくイメージされるのは漁船やフェリーや客船などを運航している人をイメージするでしょうか。
筆者も外航船航海士として働くまでは、船で働く仕事について全く知りませんでした。
漁船や客船も私たちの生活を支えている重要な仕事でありますが、世界ではそのほかにも多くの船乗りたちがいろんな船の上で活躍しています。
今回は、船乗りの仕事について現役外航船航海士の筆者が解説しているのでぜひ最後までご覧ください。
船乗りの仕事内容
船乗りは船舶を運航していく上で大きく以下の三部門に分かれています。
- 甲板部(こうはん)
- 機関部(きかん)
- 事務部
甲板部
海運業界では甲板のことをかんぱんと読まずにこうはんと呼びます。他業界や一般的にはかんぱんが多いと思いますが、海運業界でかんぱんと呼んでいる人に出会ったことがありません。
なぜ海運業界だけこの読み方をしているのか、分かりませんが専門書などにもこうはん読みが使われています。
英語では甲板部のことを”Deck Department”といいます。よくデッキなどと呼ぶことが多いです。
甲板部の役割
甲板部は主に船舶の操縦と貨物の管理、船全体のメンテナンスを担当しています。
航海中に他の船舶と衝突しないように操縦したり、船を安全に運航するための航海計画を立案したりします。
貨物の管理は甲板部が担っている大きな役割です。貨物を積んだり揚げたりするときにも航海中の貨物の管理も甲板部が担当しています。
港に入ればシフトを組んで24時間体制で荷役(貨物の積み下ろし)の監督をし、荷役が完了すれば休む間もなく出港の準備が始まります。
また、船は潮風を浴びながら航海しています。そのため放置しているとすぐ錆て運行に支障をきたしてしまいます。そこで甲板部は日々錆打ち・メンテナンスをし、船をきれいに保ち長く使えるようにします。
機関部
次に紹介するのは機関部です。英語では”Engine Depertment“といいます。
機関部は甲板部と異なり、当直制とMゼロ運転制があります。
当直制は24時間を4時間交代のシフトで回し当直にあたります。
一方、最近ではMゼロ(Machinery Space Zero Person)が取り入れられており、機関部の負担軽減が進んでいます。
Mゼロは日中に保守点検を機関部全員で行い、夜間は運転監視警報装置により万が一異常が発生した場合は警報が鳴りすぐに駆け付けることができるという仕組みになっています。
ただし、船舶交通が激しい海域や入出港時などではいつでも機関をいつでも機関の操作に対応できるようにスタンバイしなければなりません。
機関部の役割
機関部は先ほども述べたようにメインエンジンの保守管理が最も重要な役割です。しかし船はエンジンのほかにも発電機・操舵機・食料を保存するための冷蔵庫などなど、生活していく上でなくてはならない機器が多く存在しています。それらを保守管理し必要であれば修理するのも機関部の大きな役割です。
船が停泊中は航海中には行えないエンジンの点検や整備作業を行います。
事務部
事務部は客船やフェリーなどでは旅客の対応などをする事務員がいますが、一般の商船では事務員が乗船していることはほとんどありません。この事務員に関しては海技免状は必要ありません。
事務部の役割
事務部の大きな役割といえば、乗組員の食事の提供があります。船という制限されいてる環境で食事というのはとても重要な楽しみの一つです。
基本的には司厨長(Chief Cook,Chief Steward)が献立を考え司厨員(2nd Cook,2nd Steward)とともに毎日ご飯を作ってくれます。外航船ではフィリピン人が担当していることが多いです。
昔は日本食に関する知識の少ない司厨長も多く評判もあまり良くありませんでしたが、最近では改善され、「日本食を真似たような料理」が出てくることは減ったそうです。私も先日乗っていた船では特にご飯に関する不満はなくむしろ、家のご飯よりも豪華なときもありました。
船乗りと関連した仕事
船乗りと関連した仕事で有名なのに水先人があります。
水先人とは、簡単に説明すると船舶が出入港や狭水道などを航行するときにその海域に特化した水先人が船に乗り込み操船の補助をする人の事です。
以前までは定年退職した船長などが資格を取得し、一級水先人になるというのが一般的でした。ところが最近では商船系大学を卒業し、海技士免許を取得したのち三級水先人になるという制度ができ新卒から水先人になる人も増えてきています。
船乗りの仕事内容まとめ
以上で船乗りの仕事について解説を終わります。船乗りという仕事はまだまだ世間での認知度はまだまだかもしれません。この記事を通して少しでも船乗りの仕事に関して理解が深まると幸いです。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
参考文献:プロが教える船のメカニズム
コメント