海技士試験(筆記)の勉強ってどうすればいいの?
- 海技士筆記試験は全部暗記するだけ!
- 試験の2週間前から本気を出せば大丈夫
学生時代に先輩に聞いてもこのような答えしか返ってきませんでした。
「そんなことができれば苦労しないし、専門用語とか多すぎてわけわからん!」
しかし、筆者は学生時代に試行錯誤しながら、海技士試験を何度も受験し一級海技士(航海)の筆記試験に合格することができました。
外航船航海士となれた今、同じように苦しむ後輩を作りたくないと思い、筆記試験に合格するためのテクニック・具体的な勉強法についてまとめました。
- これから初めて海技士試験を受けるけど、何から手を付けていいのかわからない
- 何回も受けているけど全然受かる気がしない
このような人に向けて合格するために必要な戦略と具体的な勉強法についてまとめたのでぜひ最後までご覧ください。
この記事は海技士(航海)の筆記試験の勉強法について解説していますが、機関にも応用できる点はあると思います。
海技士試験の筆記試験合格に必要な知識
まず海技士試験に合格するためには
- 合格基準
- 採点方法
- 必要な参考書
を知らなければ始まりません。順を追って解説していきます。
1.合格基準
三級以上の筆記試験は航海・運用・法規・英語の4科目で構成されています。
そして、4科目受験した場合と一部の科目ごとに合格していく場合によって合格基準が異なります。
受験方法 | 合格条件 | 配点 |
---|---|---|
全科目受験した場合 | ・各科目が配点の50%以上 ・全科目の合計点が65%以上 | 航海:500点 運用:500点 法規:300点 英語:200点 |
一部の科目を受験した場合 | ・配点の65%以上 | 同上 |
2.採点方法
採点方法は加点法が採用されています。
筆者が学生時代に受験地の運輸局に問い合わせたところ加点法で採点しているとの回答がありました。
海技士試験の試験官は各運輸局で入れ替わりがあるので全運輸局で共通していると思いますが心配な方は受験地の運輸局に問い合わせてみるとよいでしょう。
加点法が採用されているので回答するときはできるだけ丁寧に説明し、知っている知識は可能な限り多く記述しましょう。
ただし、「5つ答えよ」等の回答数が限られている設問に関しては、指定された数以上答えると採点の対象にならないので注意しなければなりません。
また、採点官から聞いた話では丸暗記であべこべな日本語で答えている受験者が多いそうです。記憶していた言い回しで答えようとするのではなく意味の通じる日本語で答えられるようにしましょう。
筆者は問い合わせる前まで、簡潔に答えたほうが良いと思い端的に答えて合格を逃してしまいました。
海技士試験は加点法なので可能な限り多く記述しましょう。
3.必要な参考書
海技士試験対策では成山堂出版の海技士試験問題集と海文堂出版の徹底攻略問題集があります。
それぞれの特徴について簡単に解説していきます。
徹底攻略問題集
こちらの参考書の特徴は過去に出題されたすべての問題を網羅しており、メインで使う参考書におすすめです。
また、科目ごとに問題が分かれており科目合格を目指す場合にもかなり使いやすいです。問題ごとにいつ出題されたのかも書かれているので頻出問題とそうでない問題も把握できるので活用しましょう。
10年以上出題されていない問題も載っていますがほぼ出ることはないので試験まで余裕がある場合を除いて対策不要です。
また、過去3年以内に出題された問題は必ず対策しましょう。
「直近3回の試験に出題された問題は出ないから消して勉強した方が効率良い」という人もいますが、航海と運用については連続で同じ問題が出ることがよくあるので、直近の問題を削除するのはお勧めしません。
しかし、法規に関しては直近2回で出題された問題は出題されていませんでした。勉強する余裕のない人は直近2回で出題された問題を消してから勉強してもいいかもしれません。
この問題集で最大のデメリットは解答の量が不十分な問題があるいうことです。前項で説明した通り、海技士試験は加点法なのでできる限り回答は詳しく答えられた方がいいです。そのため、海技士試験対策問題集の併用することをお勧めします。
- 過去に出題された問題を網羅しており、科目ごとに分類されている
- 網羅性がありメインで使うのには適しているが解答の量としては不十分
海技士試験問題集
こちらの参考書は試験の3年分計12回分が解答と合わせてまとめられています。
この参考書の特徴としては解答がかなり丁寧に書かれていることです。実際の試験形式に沿って問題を解けるので、模試として使うことができます。
一方で解答の文量が多いのでまだ専門知識が少なく初めて試験を受ける人には不向きかもしれません。
この参考書は、徹底攻略問題集で解答量が不足しているところを参照したり、徹底攻略問題集で勉強した後に、模試として使うことをお勧めします。
筆者はどちらの参考書も購入して勉強しましたが、金銭的に苦しい場合は学校の図書館で借りるのも良いでしょう。
しかし、2冊購入するのをケチって余計な受験料を納めるよりも、始めから2冊で勉強して一発で合格できるようにした方が安く済ませられるかもしれません。
- 試験の3年分計12回分と丁寧な解答が収録されている
- 解答の参照や力試しのために徹底攻略問題集との併用がおすすめ
合格に近づくための戦略
海技士試験に合格するためには4科目受験することがおすすめです。
理由は得意な科目で他の科目をカバーできるからです。
4科目の総点1500点のうち65%は975点、50%は750点です。つまり、各科目で50%を超え4科目で更に225点をとれば合格することができます。
例えば航海で400点をとることができれば残りの3科目で残りの75点を他の3科目で稼ぐことができれば合格です。
ここで注意したいことは、航海と運用の配点が500点あることです。配点が大きいので225点を稼ぎやすいです。英語は配点が200点しかないので満点を取っても100点分しか稼ぐことができません。
つまり、航海と運用で350点、法規で175点、英語を100点とり合格することを目指すのが効率的です。
科目合格するためにも6.5割は取らないといけないので、350点は7割であり不可能な数字ではないです。
具体的な勉強法
前置きが長くなりましたがここから具体的にどのようにして勉強していくのか解説します。
試験勉強の開始時期は1日の勉強時間にもよりますが、遅くとも試験の1カ月前から始めしょう。
始めるのが早すぎても途中でだらけたり覚えたことを忘れてしまうので注意が必要です。
勉強時間≠机に向かっている時間
海技士試験の勉強は覚えなければならない問題が多くあります。また、試験以外にも日常ではバイトや授業がある人がほとんどでしょう。
机に向かっていれる時間は多くて1時間程度がいいところではないでしょうか。また、専門用語や知らない単語ばかりなので集中力は続きにくいと思います。
そこで、海技士試験は隙間時間を活用します。授業の休憩、通学、バイトの休憩時間などなど。5分でもあれば1問は勉強できます。
机に向かっている時間は計算問題など理解しなければいけない問題の勉強に使いましょう。
計算問題は必ず出題されますが、過去問の中でも種類は少ないので確実に解けるようにしておきましょう。
覚える→思い出す→忘れるを繰り返す
テスト勉強したときにさっき覚えたのに全然思い出せない、というような経験をしたことはないでしょうか。
ほとんどの人は覚えたことを忘れてしまいます。何回も思い出す作業を繰り返すことが重要です。
具体的な流れとしては
- 問題をみて解答を確認する
- 解答を隠して問題を見ただけで解答を思い出せるか確認する
- 思い出せなかったらまた問題と解答を確認する
- 問題だけ見て答えられたら次の問題に進む
この時はじっくり1問に時間をかけずに、解答を見てすぐ隠して答えられるレベルで大丈夫です。
1問に5分かけたとすると150問には13時間程度かかる計算になります。この勉強法で隙間時間を活用すれば徹底攻略問題集の1科目を4日ほどで1周はできるのではないでしょうか。
この1周目は完璧を目指さずどんな問題があるのか把握するレベルで大丈夫です。
覚えたことを一回忘れてまた思い出すというのが非常に重要です。じっくりと1周するより軽く3周した方が記憶は定着します。
これを筆者は7周くらいしてようやく試験に挑む自信がつきました。7周と聞くと時間がかかりそうですがだんだん即答できる問題も増えていき、2周目は11時間、3周目は9時間…と1周するのにかかる時間は短くなっていきます。
じっくりと時間をかけて1周するのではなく、何回も反復して覚えることが重要です。
一時期、書いて覚えようとしていましたが、1周するのに時間がかかりすぎる上に右から左に移すだけで全然頭を使っていませんでした。もちろんその時は不合格です。
1つの科目に自信がついてきたら、2つ目の科目も同じように進めていきましょう。点数配分の大きい航海と運用から進めいていくのをお勧めします。
もちろん、2つ目の科目を勉強しているときも1科目目を定期的に周回しましょう。7周もしていると2時間あれば1周できるくらいには身についていると思います。
- 覚える→思い出す→忘れるを繰り返す。
- 忘れることは普通なので覚えていないことに落ち込まない
- 徹底攻略問題集を7周以上する
- 自信がついたら次の科目に進み定期的に復習する
- 暗記はハイスピードで何周も繰り返すことが重要
まとめ
以上で海技士試験の勉強法の解説を終わります。
- 海技士試験は加点法の記述式なので解答はできるだけ丁寧に
- 航海・運用の配点が非常に大きいので全科目受験するほうが合格しやすい
- 隙間時間を活用して、覚える→思い出す→忘れるを繰り返す
- 暗記はハイスピードで何周も繰り返すことが重要
以上が今回の記事のポイントです。
また、暗記が苦手だった筆者が海技士試験を合格できた勉強法については最強の独学術(著:本山勝寛)を参考にしました。気になる方は是非ご覧ください。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
この記事で少しでも航海士・機関士を目指す人の助けになればうれしいです。
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